《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「橋本くん! こっちだ!」
カフェの入り口にあつしさんが立っている。
小走りで近づくと、カフェの中を顎で指した。
「もういらしている」
あつしさんの視線を追うと、中央の丸テーブルに男性が二人座っている。
恰幅のよい年配の男性が上田課長だろう。
ということは、その隣にいるのが……。
「トド松先輩?」
ドキンと鋭く胸が鳴った。
男性は品のいいグレーのスーツにピンクのネクタイ、見覚えのある黒い短髪。
俯いていて顔は見えない。
「橋本くん? どうした? やっぱり気が進まないかい?」
あつしさんの声に私は我に返った。
「いえ! そんなことはないです! すみません! 少し緊張していて!」
「そうか。緊張することはないよ。僕も同席するし、堅苦しく考えなくていい」
「はい……」
もう一度テーブルに目をやる。
男性は顔を上げて父親と談笑していた。
トド松先輩じゃない。
まったく違う顔だ。
びっくりした。
一瞬、先輩かと思っちゃった……。
「行こうか?」
あつしさんに促され、私はハイと返事をした。
正直、紹介自体はどちらでもよかった。
出会いなんて求めていない。
でも、あつしさんには散々お世話になってきた。
彼の顔を立てるためにも、和やかに話を進めて楽しい場にしないと。