《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「まあ、仕事の話はこれぐらいで。今日は息子を紹介したくてね」
「はい」
課長の隣に視線を移すと、穏やかな瞳と目が合った。
「あつしくんから息子についての話は聞いているかい?」
「そんなには……。科捜研の方だと伺いましたが」
上田課長は頷いた。
「そうなんだ。去年から警視庁の科学捜査研究所でお世話になっている」
そのとき、私のバッグから電話の着信音が流れた。
「橋本くん」
あつしさんが顔をしかめる。
「すみません!」
スマホを取り出そうとバッグを探るうちに電話は切れた。
「いいんだよ。この仕事をしているなら電源は切らないほうがいい」
上田課長はまったく気にせず微笑む。
私は座り直すと、息子さんを見た。
「警視庁の科捜研ということは研究員をされてるんですよね? すごいですね」
「すごくはないですよ。僕は父みたいに身体を動かすのは苦手なんです。もくもくと作業をするほうが得意なのでこの仕事を選びました」
上品にはにかむ姿には自然と好感をもてた。
上田課長があとを続ける。
「橋本さん。それでよかったらなんだが、うちの息子とぜひ――」
また鳴り響く電話の音。
「っ! すみません!!」
今度はすぐに鞄から見つかった。
非通知だ。
「事件かもしれない。すぐに出なさい」
上田課長が穏やかに言う。