《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
***
「ゆりくん、ゆりくん! おい! ゆりくん!」
捜査一課のデスクの上で私は目を覚ました。
顔を上げると、チョロ松警部が呆れた顔をして立っている。
書きかけの書類には涎のあとがついていた。
「……あれ? 寝てました?」
「寝てました? じゃないよ! よく上司の目の前で堂々と眠れるね! せめて眠気と闘っているフリをするとかできないの!?」
「闘っていました。それはもう苦しい闘いでした」
私はこめかみをグリグリと指で押さえた。
「いや、闘ってないよね!? 捜査から戻って席について数分で寝たよね!? 迷いなくデスクに突っ伏したよね!?」
「そうでしたっけ? ちょっと覚えがないですね」
「寝てたから覚えてないんでしょ!?」
私はあくびを噛み殺しながら書類をしまった。
またあとで書き直そう。
「警部、落ち着いてください。眠くてイライラするのはわかります。昼食のあとはつい寝ちゃいますよね」
「君が寝てるからイライラしてるんだよ! ったく、だんだんトド松くんみたいな屁理屈をこねるようになってきて――」
私はチョロ松警部を見上げた。
警部が『しまった』という顔をして口を押さえている。
「口が滑った。つい……」
「…………」
私は無言で座り直した。