《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「脈がない。呼吸も止まっている」
うそ……。
先輩の身体から下り、私はヘナヘナと崩れ落ちた。
「おい! トド松くん! トド松くん! しっかりするんだ! 救急車を早く! この工場にはAEDは置いていないのか!?」
警部の叫びに何人かの捜査員が弾かれたように走り出す。
十四松さんが走り寄ってきた。
トド松先輩の様子を確認して、首を振る。
「チョロ松警部、もう無理です……」
「バカ言うな! おまえは医者じゃないだろう!」
警部が心臓マッサージを始めた。
あつしさんが両手で顔を覆う。
「おい! トド松くん! トド松くん! 目を覚ませ! トド松くん!」
墓地に響き渡るチョロ松警部の怒鳴り声。
「トド松先輩……」
現実感がない。
倒れているトド松先輩も、必死に心臓マッサージを続けるチョロ松警部も、それを止めようとする十四松さんも、顔を覆って蹲るあつしさんも、無線で何かをやりとりしながら慌ただしく駆けていく捜査員たちも。
まるでテレビかスマホの画面を通して見ているみたい。
「おい! 頼む! 返事をしてくれっ! トド松くん! トド松くん! くそっ! 起きろ!! トド松っっ!!!!」
透き通るような冷たい秋の空気が頬を静かに冷やしていく。
叫び続けるチョロ松警部をただぼんやりと私は見つめていた。