《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「トド松くん、もしかして……」
チョロ松警部が声を震わせる。
トド松先輩は頷いた。
「先に教えるのは嫌だったんだけど、仕方ないね。あのね、ゆりちゃん。今から交換するのは、僕の『生』とデカパン所長の『死』なんだ」
「え?」
生と死を交換する?
「つまり、僕の命とデカパン所長の尽きてしまった命を交換するんだよ。同等のものしか交換できないからね」
そんな……。
じゃあ、先輩は……。
「やっぱりか! そんなことは許さないぞ、トド松くん!」
警部が先輩に掴みかかる。
「っ!!」
先輩は警部の腕を力ずくで振り切った。
「邪魔しないでください!」
瓶を口に押し当てる先輩。
だめ! 絶対にだめ! 飲ませちゃいけない!
「先輩! やめて!」
私が飛びかかるよりも、先輩のほうが早かった。
ぐっと一気に飲み干すトド松先輩。
「交換だ! 僕の命をデカパン所長と!」
次の瞬間、私は先輩に正面からぶつかり、二人一緒に倒れ込んだ。
空になった瓶が地面を転がる。
誰かが息を呑む音が聞こえた。
「トド松先輩!」
慌てて起き上がり、下になった先輩を覗き込む。
目が合う。
――いや、合っていない。
先輩の瞳は開かれていたが、私の顔は見ていなかった。
私どころかもう何も見ていなかった。
「トド松くん!」
警部が駆け寄り、数度揺さぶる。
あつしさんがすかさず先輩の口元に耳を近づけ、首に手を当てる。
しばらく沈黙したあと、念のためなのか手首も押さえた。