《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「トド松先輩、何をするつもりなんですか?」
尋ねると、先輩はエヘヘッと可愛らしく笑った。
いつものトド松先輩だ。
「ゆりちゃんは心配しなくていいよ。さっき言ったでしょ? 薬を飲むだけ。本当はこんな場所では飲みたくなかったけどね。仕方ないかな」
「…………」
なんだろう、この不安な気持ち。
相手と交換できる薬――先輩はデカパン所長と何を交換するつもりなの?
「トド松くん、君が何をする気か知らないが、そんな得体のしれない薬を飲ませるわけにはいかない。手を動かせば撃たれるよ?」
あつしさんが捜査員たちを顎でしゃくる。
みな緊張した面持ちで銃を構えている。
「なら、話は簡単です。薬を飲むあいだ、僕を撃たないように指示してください」
トド松先輩は爽やかに微笑んだ。
「は!? そんなことするわけないだろ!?」
「僕はもう逃げませんよ? 捕まえたいなら薬を飲んだあとに捕まえてください。もちろん、この薬は誰かに危害を加えるたぐいのものじゃありません」
あつしさんが困ったように眉間を押さえる。
「根拠は? 何もなく信じろと?」
「でも、あつしさんは『害はない』とすでに思っているでしょう? こんなに丁寧に僕の言い分を聞いてくれている。疑っていたら、もっと厳しい態度をとりますよね?」
「…………」
あつしさんは黙り込んだ。
手はまだ眉間に置いたまま。
考え込んでいる。
あつしさんの明晰な頭脳がフル回転して、トド松先輩の話を信じていいのか精査しているに違いない。