《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
あつしさんが感嘆のため息を漏らした。
「なるほどね。資料館に追手が来ることも想定内だったんだね。君は逃げてから短時間のうちに、守衛を観察して癖を見抜き、鍵の種類を調べてダミーを用意したってことだ。いくら優秀でも一人じゃ到底無理だ。協力者がいるだろう?」
トド松先輩は肩をすくめてみせる。
「まさか。僕は元捜査課の人間ですよ? こんなものは得意分野です」
「しかし……」
「まあ、協力者はいたとしても何も知らずに僕にやらされたと主張しますよ。罪にはならない。なにせ素人なんでね。情に負けて僕が資料館に行くのをゆりちゃんに漏らしてしまったぐらいのド素人ですよ」
「「っ!!」」
私と警部は顔を見合わせた。
白髪の品のいい執事の姿がすぐに頭に浮かぶ。
トド松先輩は続けた。
「警部とゆりちゃんだって、罪にはならない。何も知らず、頭のおかしな僕の我儘に付き合わされただけなんです。二人は僕にそそのかされた。あつしさん、署に戻ったら『悪いのは松野トド松ただ一人だった』――そう報告してください」
あつしさんの目が大きく開かれる。
チョロ松警部も私もハッとトド松先輩を見た。
署に戻ったら報告しろ?
まるで自分は署には一緒にいかないと言っているみたいだ。
こんな状況なのに、先輩はまだ諦めていないの?