《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「わかってます。僕の言っていることは無茶苦茶だ。でも、何かあるとは思っていますよね? あつしさんのことだからヒントを求めて赤塚銀行跡地の資料館にも行ったんでしょう?」
資料館?
あつしさんはこめかみを押さえた。
「ああ。ついさっき行ってみたが……」
ドキリとする。
あつしさんもやっぱりあの資料館に行ったんだ。
鉢合わせしなくてよかった。
「どうでした? 資料は見つけられましたか?」
トド松先輩の質問にあつしさんは首を振った。
「いや、守衛から預かった鍵がなぜか使えなくてね。建物に入ることができなかった。資料館の中までは見られなかったよ」
トド松先輩はふふっと笑う。
「でしょうね。守衛に渡されたのは『2』の鍵でしたか? それとも『3』の鍵?」
「なに!?」
あつしさんが目をむいた。
そういえば、資料館の鍵は三本あった。
同じキーで『1』『2』『3』と番号が割り振られていた。
たしか私は『2』の鍵を、トド松先輩は『3』の鍵を持って建物の中に入ったのだ。
『1』の鍵は守衛室に残したままだった。
「僕は資料館の中でゆりちゃんと再会したんです。彼女も鍵をこっそり持ち出してきていた。資料館を出るときに僕が二本とも守衛に返しました」
そうだった。
『2の鍵が見当たらない』と言っていた守衛に、トド松先輩は『見つかりましたよ』と鍵を返してきてくれたはずだ。
「でも、実は返すときによく似た鍵と二本ともすり替えたんです。つまり、あつしさんが資料館に着いたときには、『2』の鍵と『3』の鍵はニセモノ、守衛室に元々あった『1』の鍵だけは本物だったんですよ」