《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「トド松先輩、とにかく逃げてください! あとから追いかけますから!」
私は大声で叫んだ。
「そうだ、ゆりくんなら大丈夫だ。行くぞ、トド松くん。僕が援護する」
チョロ松警部が銃を抜く。
あつしさんはまったく動じず、余裕の笑みを浮かべている。
十四松さんはまだ状況を把握できていないのか、呆然と私たちを見つめていた。
こうなったら一か八か。
なんとしてでも隙を作るしかない。
あつしさんに発砲させては絶対にいけない。
「トド松先輩、私を信じて……」
語りかけると、トド松先輩が目を見開いた。
「ゆりちゃん?」
「とにかく逃げてください……」
「でも! ゆりちゃん、僕は――」
瞬間、私はあつしさんの目の前に飛び出した。
「っ!?」
あつしさんがひるんだ一瞬、持てる力を振り絞って体ごとぶつかる。
同時に銃を持った手めがけて頭を振り下ろす。
「いっ……!?」
銃が宙を舞う。
私はあつしさんと一緒に倒れ込んだ。
「行くぞ!」
チョロ松警部の声。
バタバタと走り出す音。
どうか逃げて、先輩。
大丈夫、きっとすべてうまくいく。
「くそっ!」
あつしさんが私を退けようとする。
必死に体重をかけ押さえ込む。
うまくいったはず、だよね?
次の瞬間、目の前が光に包まれた。
暗闇の墓地が一気に明るくなる。
え?
「止まれ! 包囲しているぞ! こちらには発砲の意思がある!」
毅然とした男性の声。
あつしさんに押しのけられ、私は地面に転がった。
防御盾を構えた捜査員たちが一斉に墓石の影から現れる。
最初から隠れていたんだ……!
だから、あつしさんは余裕だったの!?
立ち止まったトド松先輩とチョロ松警部が手を上げるのが見えた。