《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
あつしさんはやれやれと呆れたように首を振る。
「君たちは勘違いしてるよ。『警察官なら警察内部のことは知っている、だからイザとなれば切り札に使える』そんなものは間違いだ。君たち所轄の人間が知っていることなんてごく僅かだ」
「…………」
「警察という組織を舐めないでくれ。犯罪者が一人で喚いたところで痛くもない。僕たちはマスコミとも政治家とも話をつけられる。悪いことではない。そうしてでも警察を守らなくてはならないんだよ。日本から警察がなくなったらどうなる? 犯罪だらけになって収拾がつかなくなる。わかるだろう?」
相手が悪い……。
流暢に喋るあつしさんを見ながら私は思った。
敵が大きすぎる。
とても太刀打ちできる相手じゃない。
「つまり、僕に残された道はこの場で捕まること――それしかないと仰るんですね?」
「そういうことだね。残念だが」
あつしさんは頷いた。
私は手錠をかけられたまま、あつしさんをじっと観察した。
あつしさんと十四松さん……逃げたとして、十四松さんは追ってはこないだろう。
なら、あつしさん一人をなんとかすればいい。
今、思い切り体当りしたら一瞬ぐらいは隙ができるかもしれない。
その間にトド松先輩だけでも逃げられないだろうか。