《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
そんな……。
でも、十四松さんなら事情を話せばわかってくれるはず。
「十四松さん、急いでいるんです。離してもらえませんか?」
「急いでる? なんでー?」
「えっと……」
どこまで話していいだろう?
口を濁した私を見て、十四松さんはますます手に力を入れた。
「ねぇ、ゆりちゃん。あつしさんから話は聞いてるよ。僕たちより先にトド松さんを見つけたんでしょ? 庇いたい気持ちはわかるよ。僕だってトド松さんのことはよく知ってるし。でも、いけないことはいけないんだよ?」
「は、はい……」
ド正論。十四松さんの言うとおりだ。
「僕たちは警察官だよ? トド松さんは悪いことをしたんだから罪を償わせないと!」
「それはそうなんですけど……」
「どうしたの? 少し前のゆりちゃんなら迷わずトド松さんを捕まえたでしょ?」
少し前の私なら?
私は十四松さんを見つめた。
たしかにそうだ。
たとえ相手がトド松さんでも、以前の私なら間違いなく捕まえただろう。
正義のために警察官になった。
『悪いことをしたら捕まえる』
ザ・シンプルかつ明快。
今まで疑いようもなかった。
なのに、今の私はそれを破ろうとしている。