《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「ゆりちゃん? なんでそんな困った顔してるの?」
不思議そうな顔をする十四松さん。
私がすんなり応じないことに驚いているみたいだ。
「…………」
たしかに十四松さんには想像つかないだろう。
今まで信じて突き進んできた道を私は変えようとしている。
悪松さんが予想したとおり、正義を曲げてでもやり抜きたいことができてしまった。
「ねぇ、ゆりちゃん? トド松さんは?」
「ごめんなさい。トド松先輩は渡せません」
「えっ?」
私は自由な手で腰の銃を抜く。
署を出るときに持ってきたものだ。
「離してください。どうしても今やらなきゃいけないことがあるんです。時間がないから急いでいます。ここで私とやり合いますか?」
「ゆりちゃん!? 何言ってるの!?」
ハッタリもいいところだ。
こんな時間に銃をぶっ放せば、工場の人たちがみな起きてしまう。
撃つ気なんてまったくない。
それでもここで私は銃を構えなくてはいけなかった。
撃つ覚悟があると十四松さんに見せなくちゃ。
彼に腕を掴まれたまま、安全カバーを外し、銃弾を装填する。
銃口をまっすぐに向けた。
「マジッすか! 片手でなんか撃ったら危ないよ! わかってるよね!?」
「でも本気です。お願いですから、引いてください」
「…………」
十四松さんの額から汗が伝い落ちた。