《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「この薬が使える? よくわからないですけど……」
先輩はページ上部を指さした。
「ほら、ここの説明を見て。『何かひとつを相手とギブアンドテイク――つまり<交換>できる。生死は問わない。形のあるなしも問わない』」
「う〜ん? どういう意味ですか?」
トド松先輩は指で文字を追う。
「たとえば、ゆりちゃんがこの薬を飲んで『チョロ松警部と役職を交換したい』と口に出す。ゆりちゃんは警部に、チョロ松警部は部下になる」
「お〜! それはいいですね!」
チョロ松警部が「えっ……」と小さく叫んだ。
「物はもちろん、役職のような形のないものでも交換ができる。おまけに生死は問わないと書かれているから、亡くなったデカパン所長とも交換が成立する」
「なるほど……」
言っていることはなんとなくわかった。
でも、問題は……
「デカパン所長と何を交換するんですか? 亡くなっているから所長は何も持っていませんよね?」
トド松先輩はにっこりと笑った。
「そうだね。でも、交換できるものがあるんだよ」
「交換できるもの?」
そのとき、外でカラスがギャーッと鳴いた。
ハッと私たちは口をつぐむ。
続いて、一斉にカラスたちが飛びたつ音。
チョロ松警部が素早く窓から外を覗いた。
「光が近づいてくる。たぶん懐中電灯だな」
「えっ! 誰か来るんですか!?」