《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)
「ありがとうございます。……ギブアンドテイク薬? これも違いますね」
薬を棚に戻すと、チョロ松警部がテーブルから立ちあがる。
「資料をザッと見たけど、使えそうな研究はないな」
たしかに死者を生き返らせる、なんてオカルトがそんな簡単に実現するとは思えない。
「もっと徹底して捜したいですよね。家宅捜索の得意な捜査員たちを呼べたらいいのに……」
チョロ松警部がため息をついた。
「まあ、無理だな。署に連絡したとたん、トド松くんが逮捕されてアウトだ」
「ですよね……」
「トド松くん、どうする? 引きあげるか?」
先輩は薬品棚をじっと見つめていた。
「トド松先輩?」
先輩が顔を上げる。
鋭い瞳で資料ファイルが積まれたテーブルを一瞥した。
「チョロ松警部、その中に薬品についての資料はありました?」
「薬品? ああ、これかな」
警部が分厚いファイルを先輩に渡す。
先輩はファイルを受けとると、勢いよくページをめくった。
「先輩、どうしたんですか?」
「トド松くん、何を探しているんだ?」
トド松先輩は、答えずにめくりつづける。
あるページで手が止まった。
「これだ。警部、ゆりちゃん、この薬品なら使えます」
私たちは資料を覗きこんだ。
『ギブアンドテイク薬』
さっき拾って戻した薬だ。