第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)

「その警察官は所属を言っていましたか？」

悪松さんは首を振った。
「いや。所属は聞いていない。でも、あつしという名前だったな」

「「「っ！？」」」

私たちは顔を見合わせた。

あつし？

あつし理事官が来たってこと？

「あつしさんが自分で動くなんて、よっぽど僕を捕まえたいんだね」
トド松先輩が苦笑いをする。

その顔は困惑しつつも『光栄だ』と言いたげだった。

「あつしさんは自力で悪松記者まで辿りついた。さすがデキる人だよ。本気を出されたら危ないぞ」
チョロ松警部が首を振る。

たしかになんのヒントもなくここまで来れたのは恐ろしい。
味方なら心強いけど、敵に回したら厄介だ。

「悪松さん、あつしさんにはなんと答えたんですか？」

「何も知らない、と答えておいた。ただ、察しがよければブラック工場を調べるだろうな」

ヘタしたらあつしさんはもうブラック工場へ向かっているかもしれない。

「チョロ松警部、トド松先輩、行きましょう」
私は立ち上がった。

「そうだな。急ごう。悪松さん、ありがとうございます。まさか週刊雑誌の記者とわかりあえるとは思いませんでしたよ」

警部の言葉に悪松さんはクックッと笑う。

「勘違いするなよ。俺は警察なんざ大嫌いだ。ただ、個人的にクソなやつらの力にはなってもいい。それだけだ。これからも警察と俺たちの関係は悪いままだろうな」