《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第24章 チョロ松END〜警部とわたし〜(※)
「とりあえず署に戻らないと……」
私は車を停めた少し先の有料駐車場に向かって、仕方なく歩き始めた。
隣の家の前を通る。
まだ停まっている不二照明の営業車の横を通り過ぎた瞬間、運転席の男と目が合った。
20代くらいの男性が、イヤホンをつけ、小型ラジオのような機械を弄っている。
警察官も忙しいけど、電気屋さんも忙しそうだな〜。
そんなことを思いながら通り過ぎた私は、数歩進んでから立ち止まった。
……あれ? 何かおかしくない?
もう一度振り返ってみる。
照明器具の会社だよね? なぜイヤホン……?
瞬間、車のドアが勢いよく開いた。
作業服の男が車から降り、逃げる間もなく、私の腕を掴む。
「なっ……!?」
男は強い力で私を引っ張った。
「あんた、今見ただろ? 来いよ……」
「は? 何言って……」
「来いって言ってんだよ!」
強引に車の後部座席に引きずり込まれた。
間髪入れずに男がのしかかる。
ポケットを弄られ、警察手帳を取られた。
「ちょっと! 痛い! 離して!」
「なんだ……見られたと思ったら、よりによって、あの女刑事かよ。声しか聞いてないから分からなかったわ。結局、盗聴器は見つからなかったんだろ? 警察って、案外頼りにならないんだな」
男が小馬鹿にしたように笑う。