《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第24章 チョロ松END〜警部とわたし〜(※)
「…………」
もちろん、忘れてなんかいない。
意識しないように、意識しないように、毎日気をつけている。
でも、自分の中でなかなかあの日の出来事は、過去の記憶にならない。
「ゆりくん、大丈夫だよ。僕だって、なかなか忘れられないんだ。別に忘れる必要はない。僕はにゃーちゃんの大ファンだが、手は出さないよ。約束する」
警部はまるで私の気持ちを見透かしているかのように微笑んだ。
「一通り片付けたにゃ。リビングに泊まるにゃ?」
家の中からにゃーちゃんが出てくる。
警部は何事もなかったかのように振り返った。
「ああ。たぶん、盗聴器はリビングにあるだろうから、僕はそこに泊まろう。にゃーちゃんも同じ部屋とまでは言わないが、近くの部屋にいてほしい。万が一のこともあるし……」
「分かったにゃ。寝るまではリビングで過ごすにゃ」
警部が私のほうを見た。
「……というわけだ、ゆりくん。署への報告を頼む」
「いいですけど、盗聴器を探したなんてバレたら、怒られますよ?」
「そこらへんはうまく誤魔化して伝えてくれ」
「分かりました」
「じゃあ、よろしく」
警部とにゃーちゃんは連れ立って家の中に入っていった。
その後ろ姿を淋しい気持ちで見送る。