第75章 HIDE AND SEEK(影山飛雄)
清水先輩に返しながら
胸がギュッと痛くなる
初恋が悲しく散った
あの日を思い出したから。
その日はあっけなく訪れた
アレはまだ暑い
中学最後の夏
「ねぇねぇ姫凪!
男子バレー部も
もうすぐ休憩だって!
差し入れしに行かない?
私も国見くんに差し入れしに
行きたいんだー!」
友達のサクラの目当ては
国見で私は影山くんで
それは入学当時から変わらなくて
今年の夏こそは、と
張り切ってた。
でも…
『でも…人凄いよ?
今日、OBが来てるから…』
私は中々勇気が出なくて
話しかけられずに居た
だって…
「最後まで走れ!!」
最近の影山くんはとても怖い…
いつもピリピリしてて
目付きも鋭くて
「…チッ…」
皆とも上手く行ってなさそうで
「休憩だって!
行くよ!姫凪!
国見くーん!お疲れ様!
これ、使って!!」
「…自分のあるから良い
それより…なにしてんの、布施
ボーッとしてると…」
「…退け…邪魔だ…」
『ご、ごめんなさい!』
日に日に声を掛け難くなってしまってる