第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
『…うん…私も
大好きだったよ
ズット側に居たい…離さないで』
しがみついて胸に落とした声
"分かってる"と
返って来る甘い声に
幸せで満たされて
寒い冬の夜は過ぎて行った
翌朝は
『ちょ、徹!
鏡の前から退いて!!
時間なくなるじゃん!』
「嫌だねバーカバーカ!
及川さんがこんな
グチャグチャで
部活出たら
ファンが引くでしょ!」
甘さから一転
糖度ゼロだった
いつもとほとんど変わらない
ただ一つ違うのは
『へー…ファンが
そんなに気になるんだ
そうですかー…』
「なに?妬いてる?」
『…妬いてる…!
他の子にデレデレしてたら
拗ねるからね!!』
こんな事を素直に言える事
少し前までは
妬いてても
"妬くわけないじゃん"とか
可愛くない事ばっかり言ってたのに
『妬くような事、する?徹は…』
今はね、こんな甘えた声で
『妬かせないで
拗ねて可愛くない事
言いたくないよ…』
こんな事だって
言えるんだよ?
言って良いんだよ?