第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
今日がダメなら
キッパリサッパリ諦めよう
そう決めて
「姫凪、話があるんだ
聞いてくれるかい?」
グッと腹に力を込めて
姫凪の手を掴んで引き寄せた
「とりあえず、ここは寒いから
中に入ろうか
手、冷えてる」
握られた鍵を奪い取り
慣れた手つきで
ドアを開ける
姫凪の家に入るのも
「部屋、行っていい?」
『う、うん…良い、けど…』
部屋に上がるのだって
慣れてるはずなのに
「じゃあ、行こうか」
声が上擦る
ドキドキが外に
漏れてしまってるんじゃないかって思う程
心臓の音が煩いよ
『あ、ごめん!
待って、片付けてない』
繋いでた手を離し
散らばったパジャマと
バラバラと出てるメイク道具を
恥ずかしそうに片す姫凪
そう言えば
今日はうっすらメイクしてるし
ちょっとお洒落もしてる
朝からウキウキ用意してたのかな?とか
思ったら
またキュンとしてしまう
…って。
落ち着け。
キュンのまま突っ走ったら
また行き過ぎる!