第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
「良いよ、見慣れてるってば
それより…離すなよ
せっかく捕まえたと思ったのに
寂しいじゃん」
必死に欲を抑え込み
姫凪の手をまた握る
『手、繋ぐ意味…!』
真っ赤な顔して
手を離そうとブンブン振る姿さえ
可愛くて可愛らしくて仕方ないのに
『離してくれなきゃ
話聞いてあげないからね!!』
キミの唇だけが
可愛くないよ
「そんなに嫌?
あの日の事…まだ怒ってる?」
『当たり前でしょ!
イキナリあんな事…』
確かに俺が悪かったけどさ
姫凪が勘違いしてる事もあるんだよ
遊び半分なんかじゃない
あんな事したのは
「好き過ぎて止まれなくなった
…って、言っても?」
キミだから。
キミだけなんだって
『す、き…?』
チャント聞いてよ
気付いてよ
「うん。
俺、キミが思う程
チャラくもないし
あんな事誰にでも出来る
バカでもない
好きな子以外にしない
姫凪…俺はキミが好き」
ずっと言いたくて
言えなかった
俺の秘め続けた気持ちに。