第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
落ちる涙にも
俺を嫌いと怒鳴る声にも
心が痛まない俺を
「うん、ゴメンネ…」
嫌ってくれ。
「あの子が
そんなに好きなら
私と付き合わなきゃ
良かったのに…」
そう言って泣くサクラの背中に
俺はゴメンと繰り返し
サクラは
俺を責める言葉を繰り返す
何を言われても仕方ないし
むしろ責められて
嫌われる方が楽になれる気がした
初めての彼女は
俺が一方的に傷付けて終わった
姫凪とも
その後はしばらくギクシャクしてたけど
姫凪に彼氏が出来た説も
俺の勘違いだって事に落ち着いて
いつの間にか関係は
元に戻ってた
元に、だよ。
そう、ただの幼馴染の喧嘩仲間に。
告らなかったのかって?
告りたかったさ!
でも、彼女出来て
ソッコー別れたのも
ガッツリ知られてたし
なんて言うか…
タイミング逃したんだよ!
ソッコー告ったら
軽い奴だって思われるだろうし
そろそろ良いかって
思っても
幼馴染としていた時間が長過ぎて
どう切り出して良いものか
分からなかった