第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
「そうだけど…
今日は一緒に食べようと思って
誘いに来たんだ
おいで?姫凪。
今日は母ちゃんの作った
美味しい玉子焼き入ってるんだよ
姫凪に一個あげるから、ね?」
『…一人で食べるから良い
彼女の所に行けば?』
食いしん坊のくせに
乗って来ないし
「だから今日は良いんだって
姫凪と居たいから
誘いに来たんだからさ」
いつもなら
"キザでウザい"とか
呆れた顔で笑いながら
悪態つくのに
『…!!!?』
真っ赤に固まって
目に涙まで溜めて
言葉も出て来ないなんて
「…ホントどうしたのさ?
姫凪が元気ないと
調子狂うじゃん
行こうよ、イッパイ食べて
話そう?」
俺の知ってるキミじゃなさ過ぎて
落ち着かないじゃないかバーカバーカ…。
コクンと頷いた
姫凪の手と
見慣れたお弁当の袋を持って
屋上に連れて行く
居るかもと思ってた
岩ちゃん達も居なくて
静かに景色だけが広がっている