第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
いや、彼女優先が当然って
言われるかも知れないけど
「…今日の昼休み
姫凪の様子見てくる」
「おう、頼む」
"聞いてねぇ"って言わず
頷いた岩ちゃんに
少しだけザワッとする
何か嫌な予感がする
昼休み、サクラに
"今日は予定がある"とだけ告げて
姫凪の教室に顔を出し
声を掛けた
「姫凪~
久々に一緒に昼御飯食べない?」
『…なに?
いつも彼女とイチャついてるくせに』
振り返った顔は
俺の知らない不機嫌で
どこか悲しそうな顔で
「いや、今日は良いんだ
それより姫凪
最近昼御飯どうしてるのさ?
岩ちゃんに聞いたけど
一緒に食べてないんだって?」
さっきの胸騒ぎは
更に大きくなる
『別に一緒に食べてないだけで
普通に友達と食べてるから
徹だって岩ちゃんと食べてないじゃん
今更なに言ってるのよ…』
早口で喋るのは
拗ねてる時の
姫凪の特徴だけど
今日のはそれと
どこか違ってる。