第74章 キミのトナリ オレのトナリ（及川徹）

こんなアッサリ出来るとは
思ってなかったけど
初彼女は嬉しかった

だから気付かなかった

「おい、今日も姫凪は
来ねぇのか？」

姫凪の小さな変化に。

「誘いには行ったんだけどさ
まだ寝てるって帰された
俺はサクラを迎えに
行かないとだったし…」

「それは聞いてねぇわ」

「聞いてよ！
たまには惚気くらい！」

相変わらず
ぶっきらぼうな岩ちゃんに
不満を吐き出すと

「…彼女が出来たからって
浮かれやがって
姫凪の事
放ったらかし過ぎだろ
拗ねてたぞ、アイツ」

思わぬ言葉が
これまたぶっきらぼうに
返ってきた

「姫凪が？なんで？」

「知るか
アレからずっと
不機嫌なんだぞ

放課後飯に誘っても
来ねぇし
朝練も見に来ねぇ
昼飯も一人で食うしよ」

「え？昼御飯も？
てっきり岩ちゃんとかと
食べてると思ってたのに…」

そういえば最近
彼女と居る事を優先して
姫凪の行動に
注意を向けて無かった