第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
そういえばサクラとは
教室か中庭ばかりで
ここに来た事は無かったっけ
「貸し切りだね
たまには良いかもね
姫凪と二人のご飯もさ
ほら、隣座りなよ」
一番山並みが綺麗に見える場所に
腰を下ろし
隣に座れと誘うと
挙動不審に周りをキョロキョロしながら
隣に腰を下ろす
「なに?
見られたらマズイ人でも居るわけ?」
『違う!そうじゃなくて…』
「じゃあ何さ?
まさか緊張してるとか言わないよね」
赤い頬をつつきながら
からかいがちに笑う俺に
『違うってば!
徹の自惚れ屋!!
勘違いしないでよね!』
また顔を真っ赤にして
睨んで来る姫凪
いや、だから。
なにそのリアクション?
想定外過ぎて頭が付いていかない
だっていつもなら
"バッカじゃない?"とか
"徹に緊張とかナイ"って
スンッて顔して言うところじゃん
『…こういう事、もうしないでよ』
まさか、だけど
「姫凪、彼氏でも出来たの?」
そういう事、なのかな?