第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
声だけじゃなく
今度は腕を引かれ
足を止められる
『大声出しますよ?』
「それは塞がれたいって言ってる?
強引なのが
お好みなら遠慮なく
強引に行くけど?」
"強引"の言葉に
あの夜の京治が思い出されて
身体が強張る
「姫凪ちゃん?」
一度溢れた記憶は
ドンドン頭に身体に
フラッシュバックして
「え?イキナリ泣かないで!」
流そうとしてないのに
止まらない涙
「うわっ!
そんなつもりじゃ…なかったのに
とりあえずおいで!
死んでも手出さないから
俺の車に行こう!!
そのまま強張ってて…ね!」
フワリと浮いた身体は
一気に人目から隠す様に
「焦ったぁ…
通報されたらシャレに
なんなかったー…」
ガランとした駐車場に運ばれた
「…その涙は何の涙?
辛かった事を思い出して?
それとも…後悔の涙?」
『…どっちも…?
でも、やっぱり…後悔、かな』
信じられなかった自分
追えなかった自分
踏み出せない自分に
後悔が溢れて止まらない