第73章 ♑瞳を閉じても②（赤葦京治）完結

それなのに
勇気が出ずに
踏み出さない理由を
作っては先延ばしにする
情けさが更に悔しい…。

「…姫凪ちゃんは
そんなに赤葦くんが好き？
なんやかんやで豊作じゃん？
木兎だって居るしさ
花巻なんか絶対チョロいし
…俺も、姫凪ちゃんの事
守りたいって思ってるのに…」

溢れる涙をユックリ
親指で拭い
身体を引き寄せ
熱い胸板で包むアキラさんが

「俺にしない？
キミを幸せにしたい
痛みなんか忘れさせてあげたい
一目惚れなんてガラじゃないけど
それに近くて…話してから
更に好きになってった
赤葦くんを煽ったのも
キミが欲しかったからってのが
大きくて…悪い事したとは
思ってる…
でも、好きな気持ちはウソじゃないんだ」

私の頭の上に
愛の言葉を落とす

傷心には沁みる
全く揺れないと言えば
ウソになるかも知れないけど
心は楽とは逆の方向へ固まって行く

『…痛くても…京治を
忘れる事なんか出来ない
痛くても京治を想える事が
痛みを忘れて
アキラさんに愛されるより
きっと…幸せだと思う…から』