第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
いざとなれば管理人さんに
頼んで鍵を開けてもらおうか
いや、確かアイさんにも
万が一の為に合鍵を預けてた様な…
いや、アイさんじゃなかったか?
恐ろしくまとまらない思考のまま
到着したマンションの前
見上げる姫凪さんの部屋の窓
明かりは…ついてない、か。
倒れたくらいだ
仕事には行ってないと思いたい
とりあえず住人に紛れて
オートロックを抜けて
姫凪さんの部屋の前
インターホンを鳴らすけど
応答はない
寝てる?まさか倒れてる?!
「姫凪さん!!」
ドアを叩くけど
反応はない
やっぱり管理人さんに
開けて貰おうか?
クソ、合鍵さえ返さなきゃ
こんな焦らなくて済んだ…のに!
ダメ元で引いたドア
ロックの感覚に身体が揺れると
思ってたのに…アレ?
今…開かなかったか?
再び引いてみる、と…
「…開くのかよ!
不用心か!!」
アッサリ開いてしまったドア
叫んだ声や焦った事を
恥ずかしがってる場合じゃない