第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
失ってからじゃ
「…ヤッパリ、そうだったんですね
どこかで違うと思ってたんですが
…悪い方の正解だった…のか」
遅いのに。
「邪魔してスイマセン
これ…は
俺が持ってたら駄目ですね」
光太郎の鍵の横に
落とされた私の部屋の鍵には
皮肉にも
光太郎の鍵と同じキャラクターの
キーホルダーが付いてて
それも京治の顔を暗くする
京治が唇を噛んだまま
部屋をまた出て行こうと背中を向ける
『京治!』
慌ててフラフラの足を踏んばって
後を追おうとするけど
「…駄目ですよ、姫凪さん
もう追って来ないで下さい
もう俺と二人切りに
ならない方が良い
理性を保てる自信ないですから
…傷付けたくないんで
お願いします」
京治の驚く程
冷静な声に止められる
『なに、言ってるの…
私は…』
私は?
なんて言うつもり?
勝手な被害妄想で
京治を疑って
光太郎とのこんなシーン見られて
後ろめたい事も
実際あるわけで…。
『京治…あの、ね…』
何とか絞り出そうと
する声は
掠れて消えていく