第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
自分を戒める為の自虐にすら
泣きそうになるとか
末期じゃん。
これで光太郎に流されたら
笑えない自虐が
もっと笑えなくなる
だから、早く離れなきゃ
『ほら、離してよ
元カノを尻軽女に
したいんですか~?』
まだ笑える内に
なるべく明るい声で
言ってみるけど
「お前の尻が軽いわけねぇじゃん
誰にでも
こんな事になるかよ
俺にだからだろ?
下手に自虐なんか
らしくねぇよ…
マジで…放っとけねぇ
ヤッパリ俺、お前が好きだわ」
光太郎は見逃さない
見誤らない
今、私が欲しい言葉を
私の心地よい温度で
届けてくれる
『光太郎に、だからとか
自惚れが過ぎるよ…』
「自惚れさせてんのは
姫凪だろ
感じるんだよ、お前から
付き合ってた時と同じ空気
同じ匂い
…あの時みたいに
気持ちが通じる
あの温度を、さ」
『光太郎…』
「姫凪…やり直そうぜ?
もう泣かさないから
昨日の続きしようぜ?」
駄目でしょ
早く"無理"って言わないと
京治が好きだって言わないと。