第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
流れる景色を眺めながら
チラリと時計を確認する
本当なら
帰ってる時間だ
京治…と
ベットに入って寝てる時間だ…
『なんか…変な気分
仕事し始めてから
あんまりルーティンを脱線する事とか
ないからさ…
明日起きられるかな』
笑いながらも
少しずつ膨らむ罪悪感と
それでもヤッパリ
あの部屋に帰りたくない気持ちが
余裕のない心で喧嘩してる私
「たまには
いつも通りじゃなくて
良いんじゃね?
俺としても
帰りたくない所に帰すわけには
いかねぇから
オマエがホントに
帰りたいって思うまで
軟禁だかんな」
それをお見通しとでも言うように
前だけ向いて話す光太郎
私がホントに帰りたいと思うまで…か。
光太郎の声を
頭の中に巡らせて
自問自答してみるけど
『帰りたくない』
京治の笑顔も
あの部屋の匂いも
胸を締め付けるばかり
「知ってる
じゃなきゃ
こんな無理矢理
連れ込もうとしてねぇよ」
止まった車
開いた助手席のドア