第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
そして
「散らかってるって
文句は受け付けねぇからな!
ほら、来いよ」
また繋がれた指先
振り払う事なんか
簡単なのに
『光太郎の散らかった部屋なんか
見慣れてるから』
「人聞き悪ぃな
…行くぞ」
繋がれたまま
部屋に足を向けてしまう
部屋が近付く度
フツリ、フツリ
また心に絡み付く
隣にない香りの記憶
「姫凪?」
ー姫凪さん…ー
光太郎の声の遠く向こうで
聞こえるはずの声がする
京治…
きっとこの姿を京治がみたら
怒って…傷付くよね…?
『光太郎…!』
やっぱり入らない
そう口から溢れさせ様とした
私の瞳に
『…な、によ!この部屋!!
信じられない!
学生時代より酷いじゃないっっ』
まるで空き巣にでも
入られたかの様な光景が広がる
「だ、だから言っただろ!
散らかってるって
文句は受け付けねぇ…」
『次元が違う!!
絶対虫とか居るでしょ!?
こんな部屋で
なんの相談しろって言うのよー!
光太郎!ゴミ袋!
45Lじゃ駄目だからね!
90Lのやつ!出して、早く!』
「は、はいっ!」