第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
「忘れるわけねぇじゃん
いつか見せたいと思ってたけど
その前に…まぁ、良いや
北海道とかに連れ去りたいって
思う気持ち抑えて
ココにしたんだ
好きなだけ眺めて行こうぜ?」
続く甘い言葉に
絶対出さないと決めてた
涙が頬を伝う
「…ったく
泣かせたいわけじゃ
無かったんだけどなー
どうした?
聞いてやるから話せ
夜遊びしようとしてたくらいだ
まだ時間あんだろ?」
光太郎の声は不思議
強引なくせに
甘くて暖かくて
『昨日…ね
京治のズボンのポケットから…
それで…ね…』
絶対に言うもんかと
思ってた不安も不満も
『…浮気…なんかじゃ
ないと思うけど
気持ちが…そっちに
向きかけてるのかな…って
思うと不安…で…』
零れ落ちて言ってしまう
「…赤葦が?
他の女の連絡先を…ね
その上、別々の部屋で寝た…のか」
『偶然だと思うの
京治も疲れてたし
携帯触ってたのも
友達とかと連絡取ってたのかも
知れないし…
本当、考え過ぎだと思う…
ごめん。
聞き流してよ、ね?
ちょっとイヤな事が重なっただけ』