第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
「…おぅ、方向音痴もな。
カナリ迷いそうだから
場繋ぎで喋れよ
黒尾くんが乗せてるCDは
俺の趣味じゃねぇ」
ホント…変わってない
前しかみずに
突っ走って
後先考えてなさそうなのに
私の心に敏感な所も
「赤葦となにがあった?
疲れてんのにフラフラ出歩いたり
家に帰らなかったり
らしくねぇじゃん」
弱音と本音の逃げ道の塞ぎ方も。
「ま、急がなくて良い
ユックリ喋れよ
全部吐き出すまで
迷ってやるからさ」
大きな手の平で
私の頭をユックリ撫でて
怖いって言われてるのが
嘘みたいな安全運転で
夜の街を走らせる光太郎の隣で
必死に我慢してた涙を落とす私
昔話とか
最近あった自分の話をしながら
私の涙を見て見ぬふりをする光太郎が
「…姫凪、すまん」
『え?なに?』
「ガチのヤツ…だ」
ユックリ車を止めた
『ガチって…なに?』
こういう時の嫌な予感は
「…迷った」
『…はぁぁぁあ!?
自信満々に走ってたのに!?』
当たると相場が決まってる