第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
熱くなった胸に言葉が詰まって
出ないんじゃない
「ラッキー
お言葉に甘えて
わざと裏道走ろっと」
『それ言わない方が良いヤツ…ブッフォッ』
「笑うな!
…いや、笑っとけ!
ほら、乗れ乗れ!
何気に俺の運転初めてだろ?」
光太郎の気持ちが心地良過ぎるから
『そうだね
運転はいつもは京治か
クロだもんね』
「運転には自信あんのになー」
『光太郎が、どこ行っても
お酒飲みたがるからでしょ』
あんなに暗かった気持ちが
重かった私の周りの空気が
みるみる軽くなって来るから
言えないの
「飲まなくても!
怖いとか言うんだって!」
『え…止めてよ
光太郎と心中とかイヤ…』
「おい!サクッと酷い事言うな!
オマエ元気なかったんじゃねぇの!?
なんだよ…心配したのによ…
心配を口実に
送るの先延ばしにしてやれ作戦が…」
『だから、台無し感よ。
本当に光太郎は変わらないね~』
言葉も声もスラスラ唇から
溢れて笑いも溢れるのに
"バカね、早く送って"って言葉だけは
溢れ落ちない