第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
一緒に入ってれば良かったな
別々に入らなきゃ
あんなメモ見つけないで済んだかも
…って!ダメダメ!
仕事中なんだってば!!
『気持ち悪い所はございませんか?』
「…あるよ
何か悩んでるの?姫凪ちゃん」
『え?』
必死に紡いだマニュアルトークに
割り込む声
「受付の時から
気になってたんだ
無理してるでしょ?」
タオルで隠れてて
表情は見えないけど
本当に心配してるのが
伝わる優しい声
「俺でよかったら
話聞くよ?
二人切りは嫌だろうから
花巻とかも巻き込んでさ」
周りに聞こえない様に
ボリュームを抑えてるのに
耳に絡み付く様に
離れないアキラさんの
甘い言葉
嬉しいけど
『…大丈夫です
聞いてもらう人は
沢山いるので。
私、友達多いんですよー!
ズバッと言ってくれる
頼もしい親友だって居るし
その子がデートじゃ無かったら
朝までだって聞いてくれるんで』
甘えるつもりはナイ。
それをきっと京治は望まない…し。