第73章 ♑瞳を閉じても②（赤葦京治）完結

「…そっか。
余計なお世話だったねゴメン
…じゃあさ？
チケットプレゼントするから
ライブ見に来ない？
出番も遅いから仕事終わりでも
間に合うと思うんだ」

『え、いや…』

「無理にとは言わないよ
でも溜め込んでばっかりじゃ
姫凪ちゃんが
疲れちゃうんじゃないかって
思うんだよね、俺」

疲れてなんか…ないって
言い切れる…？
でも、夜遊び…は…。

「とりあえずチケット置いていくからさ
気が向いたらおいでよ
きっと楽しいからさ」

『…ありがとう
考えておきます
じゃあ、こちらへどうぞ』

タオルをはずし
起き上がったアキラさんと
パチリと目が合って

「待ってる
発散して笑って帰りなよ」

小さく耳打たれる言葉

笑って…帰れるなら…
グラりと揺れる心は
ドライヤーの音と風に
少しずつ固まっていくみたいで

仕事終わりの私の指は

［ごめん、今日カナリ遅くなりそう］

京治にメッセージを飛ばしていた
変に思われるかな？
ヤッパリ止めようかな…