第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
開いたドアの音に
先輩は背中を向け
私は受付のカウンターに立つ
すると
「セットだけでも良いかな?」
聞き覚えのある声
『あ、どうも…
えっと確認します…』
「あ、アキラくん
いらっしゃい
デート?」
アキラさんだ。
「嫌味かよ。
ツレのライブに誘われて
オッケーしたら
見る方じゃなくて
出る方だったんだよ
なんかヴォーカルが
喉やっちまったんだってよ
えっと…このバンドなんだ
混じってもヘンじゃない感じに
セットしてくんね?」
割り込んで来たマッキーとの
会話を聞きながら
手の空いてる先輩を確認して
『チョット聞いてきますから
待っててください』
受付から遠ざかり
先輩に声を掛ける
「あぁ、マッキーの友達の
常連さんね
セットくらいなら大丈夫よ
次の予約まだ先だし
シャンプーとかどうするか
聞いて来て?
用意しとく」
貰えたOKにホッとして
『大丈夫みたいなので
こちらに名前お願いします
シャンプーどうされますか?』
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