第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
[まじ?!
赤葦ウラヤマかよ!
心配して損した!
俺もヤリてぇ!!]
[バカじゃないの
だからもう寝るの!
今度こそオヤスミ]
無理やり終わらせたLINE
返信はこなくて
ホッとした様な
少し寂しいような
変な感情を抱いて
また毛布に包まる
眠れないまま夜を越えて
そのまま空が白んでいく
まだリビングで眠ったまま
起きない京治が
クシュンと一つ
クシャミをする
起こさないように
毛布を掛けて
早過ぎる用意を済ませて
"いってきます"とだけ
メモを残して家を出た
いつもなら起こして
キスを強請るのに
起こさなくても
キスを落として離れるのに
私の唇は
何も紡がず
何にも触れず
部屋を後にした私は
「布施さーん
今日は何か効率悪いよ
疲れてるの?
顔色も悪いし…」
『すいません…』
張り切って早く出勤したのに
先輩にお小言を食らっていた
「…いつもは
不調でもは人並みには動くのに
何かあったの?
悩み事なら聞くけど…
あ、いらっしゃいませ!
話は後でね
とりあえず笑顔だけはキープして」