第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
門を抜けて数分も経たぬ内に
「あかーし!助けてくれ!」
「なんだよ?朝から騒がしいな」
バタバタと駆け寄ってくる宮侑
怪訝な顔を向けると
「ちゃうねん!
あ、あいつらが!」
テンパった様子で
言葉を途切れさせる
「あいつらって、誰だよ?」
「あいつらやん!昨日居酒屋で会った!
慣れこく話し掛けて来るから
オンナが誤解して
マジで死んだ!
なぁ、赤葦から俺のオンナに
昨日の事、話してくれや」
「はぁ?まさかだろ」
昨日の席で学生とか言ってたっけ?
侑の見間違え…
「きゃあ!本当にいた!
赤葦くーん!」
…じゃないんだな。
学科は違うみたいだけど
「ねぇ、今日お昼一緒に食べない??
昨日奢って貰ったし
今日は私らが奢るからさー」
図々しさは昨夜の1.5割増しかよ。
"彼女が居る"と断っても
しつこく食い下がる女子達に
そろそろ宮侑の我慢が限界に達して
ドシャット炸裂でオシマイになる
「なんや?朝から騒がしな。
また自分か、侑」
「北さん!ええ所に!!」
…はずだった。