第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
稲荷崎の元主将
同じ大学の大学院生
北信介さんが現れてしまった
これはまずい。
いや、この人が苦手とかではないんですが
北さんと宮侑じゃ
持ち札に難アリなんです
「なんや?この子ら知り合いなんか?」
「いや…別に…」
北さんが女子達に視線を送ると
「はい!昨日合コンで仲良くなったから
お昼食べようって誘いに来たのに
逃げるんです~
私達ショックで…」
女子達が眉を下げて
いかにも残念そうに話す
あぁ、コレは駄目だ
勝てる流れじゃない
北さんは宮侑が
この女子達との約束を破ったと思ってる
そうなったら
「あ、あほ!
そんなん言うたら
俺が悪モンみたいやないか!」
「いや、悪モンやろ
先約あんのに俺誘って
女子にこんな顔させてから」
「ちゃうねん、北さん
こんなん演技ですって!
そもそも飯食う約束なんか
してへんのです!
信じてください~!」
「ちゃう事ないやろ
泣きそうやんか、この子ら」
こっち側に加担する可能性はゼロだ。