第72章 ♑瞳を閉じても（赤葦京治）

そんな俺の目の前で

『今何時！？
私、昨日どうやって帰ってきた！？
じゃなくて、京治…ごめん…』

アワアワ取り乱し

『約束したのに…
すぐ帰るって…
本当にごめんね？京治…』

恐る恐る伏せてた視線を
あげる姫凪さん

…クッソ！
可愛過ぎるでしょう！
事情は聞いてて
姫凪さんが悪くない事も知ってるけど
知らないフリして
お仕置きしたくなる

甘えた声を別の甘さに変えたくなる

ゴクリと鳴らす喉

『京治、怒ってる？』

ここで"怒ってる"と
"話ならお仕置きしながら"と
起きた背中を
ベットに縫い付けてしまいたい

…けど。

「…話は花巻さんから聞きましたよ
ノンアルコール飲んでたのに
花巻が間違ってアルコールを
注文したんでしょう？」

それをしたら
昨日と変わらないですよね。

また無理させたらと思うと

『怒ってないの？』

「怒られるような事あったんですか？」

『そういうわけじゃなくて…
その…男の人に送られるのって
嫌…でしょ？』

俺の嫉妬なんか
抑え込む以外の選択肢はないですよ。