第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
「…やっぱり起きないか…。
ゴメンな?ウチの連れが間違って
酒注文しちゃってさ
姫凪ちゃんは頑なに
ノンアルコールしか飲まないって
言い張ってたから
叱ンないでやってね」
そんな姫凪さんを支えながら
頭を下げる
ムカチン。
謝られてムカついたのとか
久々だった。
本当は丁寧にお礼を言って
連れて帰るつもりが
「…叱りませんよ。
それよりいつまで隣(ソコ)に
居るつもりですか?」
喧嘩腰とかガキ過ぎる
「手はもう足りてますから
離してもらえますか?」
丁寧な言い回しとは逆に
語尾は強くなるばかり。
冷静で居ないとロクな事がないんだ
そんなの過去のアレコレで
証明されてるはずなんだ
「これはこれは…
カナリ警戒されてるみたいだな
毒づくのは自由だけど
カクテル一杯でこんな風になるまで
疲れさせたのは誰なんだかって
話だよな
キスマーク付けるのは趣味かな?」
ほら、ね
言わんこっちゃない。
簡単に反撃食らって
何も言い返せないとか
ダサいにも程がある