第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
「あかーし?」
ただ、恥ずかしくても
凹んでも、損してても
実はそこまで
運が悪いとは思ってないんだよ
「グッドルッキングガイって
叶姉妹かよ。
損な性格でも良いんだよ
最大のラッキーは
もう手にしたから」
「…あぁ、ね。
姫凪ちゃんを
手に入れた以上のラッキーは
必要ないって事や」
そう、最高のラッキーは
とっくの昔に手にしてる
それだけ離さなければ良い
今世紀の運は木兎さん(アノヒト)に
勝った時に使い果たしたと思ってる
だから損な役回りくらいで丁度いい
そう思えば少しは気持ちも楽になった
…と、なれば
「そういう事。
なにしてるんだよ車、まだ?」
運がない分
図々しく甘えましょうかね
「お前なぁあ!
治と家に居座ったろか!」
「木兎さんがしょぼくれるから
止めてください
木兎さんとコンビ組む
セッターなんですから
もう少し木兎さんの事
把握しててくれないと…」
「…凹んでるやろーと
仏心出した俺が
アホやった…」
「損な役回りはお互い様だな」