第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
"一緒にすな"って怒鳴る宮侑と
帰る道すがら
木兎さんへの差し入れと
「これは、オマケ
どうせ車一回置きに帰るだろ?」
「…寿司!?」
宮侑の好物のトロ中心の握り盛り
ついでで乗せて貰って御礼とか
律儀過ぎる?
それが本当に【ついで】なら
ありがたく乗っかるんですけどね
きっと宮侑は
「スーパーので悪いけど」
「かまへん!
…って、アレ?
なんで、車で木兎くん所行かんって
知ってんねん?」
「木兎さんが練習の後
飲みに行かないわけないし
それに付き合わない性格じゃないだろ」
俺を気にして送ってくれたはずだから
「なんやねん
お見通しとか敵わんな…」
「お互い様だって。
じゃあ、また明日」
少し上がった気分で
姫凪さんの家の近所のコンビニへ
好きなスイーツとお疲れ様の
お酒を買って
合鍵でドアの奥へ進んだ
朝出た時と一緒の香り
落ち着く姫凪さんの
甘い香りに包まれ
風呂の支度と軽く飯の支度も済ませる
…けど。
ドアは開かない
一杯付き合うにしては長いな…