第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
仏頂面をしながらも
甘えた声で戯れる京治が浮かび
自然と溢れる笑み
[甘いうちに帰って来て下さいね?
ヤキモチ妬きすぎたら
激辛になりますよ]
それも悪くないかも、なんて
淫らに滾る妄想で
緩む頰を叩き
[なるべく早く帰るから
激甘でヨロシク!]
高速で指を動かし
席に戻ると
遠くの席に座ってた先生は
チラッとこっちを見るものの
サッと目を逸らしてしまう
相変わらず他の女子には
猫なで声で甘えてる姿に
苦笑いを浮かべてると
「姫凪ちゃん
体調悪くなった?」
お酒で少し顔を赤く染められた
マッキーが私のノンアルコールカクテルを
差し出し
「薄くなったから
新しく注文しといたよ」
と、まさかの気の回し方を
炸裂させる
ぅおい!
ありがた迷惑!!
『薄くても良いのに…』
「いや、不味いだろ…
ほらグーッといって!」
薄い方がグーッと行けたよ…
そう思いながらも
早く帰りたいと逸る気持ちで
グラスに入った濃い色の液体を
喉に通す…と
え?ウ、ソ…
『マッキー…これ、なに?』