第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
鼻にあがってくる独特な匂い
甘いのは間違いないけど
これって……
「マリブとかじゃねぇの?
姫凪ちゃんお酒強いって
言ってたのに可愛いカクテル
頼んだんだねー」
だよね?
ノンアルコールの甘さじゃないよね
「おい、花巻!
おま、ばか!」
ほんと、バカ
マッキーの?違うよ、私の。
「へ?なに?」
「姫凪ちゃんはノンアルコール!」
「…やべ。
そう言えばウーロン茶で帰るとか
言ってたっけ…
姫凪ちゃんゴメン!
……姫凪ちゃん!?」
『…無理…』
なんでチャント確認もせず
一気に流し込んだりしたんだろう
いくら弱いとはいえ
アルコールはアルコール
眠気も疲れもマックスな私は
甘酒で酔う気さえしていたのに…
一気に入って来たアルコールと
苦手な甘過ぎる味に
グワッと目の前が回る感じがして
「姫凪、大丈夫ですか?」
目の前で京治が
心配そうにしてる姿まで
記憶が飛んだ