第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
一気に引いていく
先生の熱
たすかった…けど!
この人はカレシなわけじゃ…!
否定したいけど
それはこの人の助け舟から
飛び降りるようなもんだし…
京治ごめん!
先生が去るまで
グッと飲み込んだ"違う"の言葉と
"ありがとう"の言葉を
吐き出すより早く
「ゴメンな、カレシ面して
でもアレが一番あの人には効くからさ
多分もう関わってこないだろうから
今日の事は二人の秘密って事で
墓場まで持って行きなよ、ね?」
それだけ言って
去って行くアキラさん
男前か…!
いやいや、そんな場合じゃない。
御礼を…でも、もう戻っちゃってるし…
うーん…よし!
御礼は帰り際にコソッと言おう
とりあえず
私は京治からの連絡を
確認する為に席を外したんだから
携帯をチェックしないと。
ポケットから取り出す携帯
光らせたディスプレイを
[了解。
甘い物用意して
待ってます]
[…俺ですけど]
と、続けざまに入った
メッセージが彩っている