第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
『うん、勉強しに行ってて
マッキーも?』
「そうそう。
月曜くらいは寝てたいけど
そうも行かねぇんだよなー
飲まねぇとやってらんねぇよ、実際」
大きなアクビをしながらも
まだ元気が有り余ってそうな顔に
嫌な予感は隠せない
長居は禁物だ
間違いない
早く逃げないと
『私は…そうでもないから
彼氏にご飯作らないとだから
帰りまーす…』
「ちょいちょーい!
冷たいじゃん!
今から飲みに行くんだけど
姫凪ちゃんもどうよ?
青山で店やってる
美容師のセンセも一緒だぜ?」
ほら、こういう事になる。
そそくさと通り過ぎようとした身体が
長い腕で阻まれ
「あ、安心して!
ちゃーんと女子もイッパイ居るから!
センセも既婚者だしさ
な?安全な親睦会!」
爽やかな笑顔が迫って来る
『でも、彼氏と約束あるし
もう眠いし…』
「カリスマ美容師から
カットの話とか聞きたくね?」
『う…』
マッキーの言葉に大きく揺れる
さっき約束した
京治の髪を切るって話が脳を掠める